ユナイテッド航空がオーバーブッキングのため乗客を強制的に引きずり降ろすというニュースが話題になっていますが、オーバーブッキング自体はいつでも起きる可能性があります。というのも座席数以上の予約をキャンセルを見越して予約を受け付けるため予想よりもキャンセル数が少なかった場合に座席が足りなくなるのです。この行為自体は航空会社の利益確保のために認められていて法律的に違法ではありません。
目次
オーバーブッキング時の対応
- 席を譲ってくれる人を募る
- 特定の乗客の搭乗を断って、振替便の手配
- 座席のインボランタリー・アップグレードを提供する
- マイルや金銭補償を行う場合がある
一見するとアップグレードやマイル・金銭の付与をすると航空会社が損するイメージがありますが、航空会社側からすると、飛行機を満席の状態でフライトして、乗客を空席の多い便に回して搭乗率を上げるほうが多くの収入を増やすことができます。問題は席を譲ってくれる人を募った場合、それでも座席が足りない場合です。
国内線
国内線では『フレックストラベラー制度』という名前でオーバーブッキング時の対応を決めています。
全日空ANA
ご予約をお持ちのお客様の数が座席数を上回り、座席が不足した場合、当該便を予約済みのお客様の中から、ANAが提示する協力金額および代替交通手段に同意され、自主的に便の変更等についてご了承いただける方を募り、ご協力いただいたお客様に対して、協力金のお支払いおよび代替交通手段の提供を行う制度です。
- 現金の場合
ANAは、代替交通手段および協力金額を提示したうえで、自主的にご協力いただけるお客様を募ります。 ご協力いただいたお客様には、次の協力金をお支払いいたします。
代替交通手段振替日 協力金 当日 10,000円 翌日以降 20,000円
- マイルの場合
ANAマイレージクラブ会員の方は、AMCフレックスパートナーにあらかじめご登録いただいたうえ当日自主的に便の変更等にご協力いただいた場合、協力金に代えて次の「AMCフレックスパートナー協力マイル」の選択も可能です。
代替交通手段振替日 協力金または AMCフレックスパートナー協力マイル 当日 10,000円または7,500マイル 翌日以降 20,000円または15,000マイル
日本航空JAL
ご予約をお持ちのお客さまの中には、お取り消しのお申し出なくご搭乗されないお客さまもいらっしゃることから、出発時に空席となってしまうと想定される座席を、事前にご予約を必要としているお客さまに提供させていただくため、一部の便において、座席数よりも多くのご予約を承ることがあります。
フレックストラベラー制度とは、この結果、当日座席が不足した場合、当該便を予約済みのお客さまのなかから自主的に便の変更などについてご協力いただける方を募り、ご協力いただいたお客さまに対して、弊社が協力金・マイルの支払いおよび代替交通手段の提供などを行う制度です。
- 現金の場合
ご協力いただいたお客さまには、次の「協力金」をお支払いいたします。
代替交通手段振替日 協力金 当日 10,000円 翌日以降 20,000円
- マイルの場合
JALマイレージバンク会員(JMB会員)の方で、当日自主的に次便以降への変更等にご協力いただいた会員の方は、上記「協力金」に代えて「協力マイル」の選択も可能です。
代替交通手段振替日 協力マイル 当日 7,500マイル 翌日以降 15,000マイル
スカイマーク
座席数が不足した場合には、以下の条件が整ったお客様へ、協力金額および代替交通手段(翌日以降の場合は下記に加えて宿泊費等)を提示した上で、自主的に後続便への変更をご協力いただけるお客様を募ります。事前に登録する制度はありません。
- 当該便のご予約をお持ちであること。
- 当該予約便の航空券を出発60分前までにご購入されていること。
- 出発時刻の20分前までに搭乗手続きカウンターに航空券を提示し、当該便の搭乗手続きを求めていること。
ご協力いただいたお客様には、以下の協力金をお支払いいたします。
代替交通手段振替日 ご協力金 当日 10,000円 翌日以降 20,000円
スターフライヤー
フレックストラベラー制度とは、ご予約されたお客様の数が座席数を上回り、座席数が不足した場合に当該便をご予約済みのお客様の中から、当社が提示する代替交通手段およびご協力金額に同意されて、自主的に便の変更等についてご了承いただける方を募り、ご協力いただく制度です。ご協力いただいたお客様に対しては、当社が代替交通手段の提供およびご協力金のお支払い等を行います。
- 当社は代替交通手段およびご協力金額を提示したうえで、自主的にご協力いただけるお客様を募ります。事前に登録する制度はありません。
- ご協力いただいたお客様には、以下のご協力金をお支払いいたします。
代替交通手段振替日 ご協力金 当日 10,000円 翌日以降 20,000円
国際線
国際線は各社様々な方針で運営しています。そもそもオーバーブッキングを受け付けない会社や、逆に常時オーバーブッキング状態で予約をつけて満席になった時点で搭乗時刻に間に合っていても乗り遅れとみなす会社まであります。
EUではヨーロッパ規制委員会によってオーバーブッキング時の乗客への補償などが決められています。
一部の航空会社の対応を抜粋しました。
ユナイテッド航空
航空券をお持ちで、時間どおりにチェックインされても、まれに対象フライトの座席をお客様にご提供できない場合ありますが、その際はユナイテッド航空の規定に従ってください。このような状況をオーバーブッキングと言い、対象フライトを安全に運航するために制限が適用される場合(機材の重量制限など)、当初予定していた大型の機材より小さい機材を使用しなければならない場合、あるいはご用意できる座席数より多くのお客様のチェックインと搭乗手続きを行ってしまった場合に発生します。
フライトのオーバーブッキングが発生した場合でも、コンファーム済みの座席をお譲りくださる方がいらっしゃるかどうかをお尋ねする前に座席のご利用をお断りすることはありません。座席を放棄していただけるお客様が十分に見つからない場合、搭乗優先順位に関する当社のポリシーに基づき、お客様の搭乗を拒否させていただくことがあります。チェックインとその他の規定に従ってお客様の搭乗をお断りせざるを得ない場合は、お客様の権利とオーバーブッキング時の搭乗優先順位の決定方法を明記した声明書をお渡しいたします。お客様は補償の対象となり、振り替え便が用意されます。
補償に関する規約全文と搭乗優先順位に関するポリシーについては、当該空港でご案内いたします。ユナイテッド航空は、この規約に従ってお客様に適正な対応をいたします。定刻にチェックインしていらっしゃらないなど、規定を満たさない場合、あるいは元のフライトの到着予定時刻より1時間以内に目的地または最初の経由地に到着する代替輸送を提供する場合は、お客様の搭乗を補償なしでお断りすることがあります。
ユナイテッドのお客様へのお約束
デルタ航空
予約を確認されたお客様が実際にフライトをご利用にならない場合が頻繁に発生するため、フライトの空席数を減らすために、航空機の座席数を超える数の航空券を販売することが連邦規定により許可されています。 このため、稀ではありますが、「オーバーブッキング」の状態が発生し、予約確定済みのお客様にお座席を提供できない場合があります。 このような場合は、フライトの手続きに関して適用されるすべての規制に従って対応を行います。公正かつ一貫した対応に関するデルタ航空のポリシーと手続きには以下の項目が含まれます。
発券された航空券をお持ちのお客様がそのフライトに搭乗できない状況が発生した場合、搭乗優先規定を含む、デルタ航空のポリシーおよび手続きに関する情報を空港にてご提供いたします。
- チェックイン時刻は、デルタ航空予約センターへのお電話、および旅行・チェックインのページを通じて、お客様にお知らせいたします。
- 予約センターまたは空港でのデルタ航空カスタマーサービス担当を通して、予約されたフライトに超過予約が発生している旨を、ご希望によりお客様にお知らせいたします。
- そのほかの搭乗優先を適用する前に、任意にお座席を譲っていただける方を募ります。お座席を譲っていただける方が十分にいらっしゃらない場合は、デルタ航空はその搭乗優先事項に従って、他のお客様の搭乗をお断りすることになります。
- 任意にお座席を譲っていただけるお客様には、輸送クレジットを提供しています。この輸送クレジットは、ご希望の目的地への新しいデルタ航空券のご購入にご利用いただけます。輸送クレジットは delta.com にて 1 年間ご利用可能です。
- ご本人の意思にそぐわず搭乗をお断りした場合は、お客様に対するデルタ航空の義務およびお客様がお受け取りになる補償金の額について説明した通知をお渡しいたします。
- 不本意に搭乗の拒否を受けたお客様対し、デルタ航空はお客様の航空券の目的地に向かう次のデルタ航空便のお座席のご予約を、最優先してお取りいたします。
- お客様がご自宅から離れた空港にて不本意にフライト予約を取り消され、デルタ航空が同日に代替便をご用意できない場合には、当社の契約施設にて宿泊を提供いたします。ホテル宿泊をご-利用いただけない場合は、契約しているホテルの料金と同価格(最高 100 ドルまで)の輸送クレジットにより補償いたします。
ルフトハンザ航空
超過予約(オーバーブッキング)が原因でお客様の意思に反してご予約便にご搭乗いただけなかった場合、お客様には上記「遅延」の項目と同様の付随サービスを受ける権利が発生します。さらに、ご予約便の最終目的地までの代替便が提供されます。代替便としては、可能な限り早い時点に出発する、極力ご予約便に近い条件のフライトが提供されます。お客様のご希望によっては、より遅い出発のフライトへの振り替えも、空席状況に応じて可能です。ただしこの場合、それに伴う追加の飲食代、宿泊代、交通費はお客様のご負担となります。
搭乗拒否を受けた場合、お客様の任意・非任意にかかわらず、お客様は払い戻ししおよびすみやかな補償を求めることができます。補償金は、小切手、銀行振り込み、あるいはお客様が同意された場合にはクーポンにてお支払いします。補償金額はご予定搭乗区間の距離や提供された代替便の内容によって異なります。飛行距離に応じた補償金額は以下の通りです。
- 1,500km以下 250ユーロ
- 1,501km~3,500kmまで、または1,501km以上のヨーロッパ内路線 400ユーロ
- 3,501km以上 600ユーロ
提供される代替便を利用した場合の到着遅延が、ご予約便の到着予定時刻から計算して、搭乗区間1,500km以下で2時間以内、1,500km~3,500kmで3時間以内、3,501km以上で4時間以内の場合、補償金額は上記の半額、つまり、それぞれ125ユーロ、200ユーロ、300ユーロとなります。
なお、お客様の自己責任、つまり健康、保安、あるいは旅行のための必要書類の不備などの理由により搭乗拒否された場合には、上記の補償、払い戻しの対象とはなりません。
航空機利用旅客の権利について
中国東方航空
一部の航空便においてオーバーブッキングを実施することがあります。これにより予定の便で出発することのできないお客様には、その後の一番早い便をアレンジさせていただくと同時に、お客様の具体的な路線及び遅延時間により一定の補償措置を取らせていただきます。
中国東方航空について
オーバーブッキングの考え方
このようにオーバーブッキングの強制的の部分に関しては各社様々です。
スケジュールに余裕が無い場合
仕事や次の予定が決まっているような場合は強制的に降ろされてはたまりませんね。その対策としては早めにチェックインする・予約クラスの上位のチケットを購入するくらいしか無いと思います。
スケジュールに余裕がある場合
上級会員になるために修行で飛行機に乗っている修行僧などは次の便のスケジュールさえ問題なければ現金やマイルをもらって遅らせるのも手かと思います。PP単価を劇的に下げることも可能ですよ(笑)