飛行機に乗ると「被ばくする」とはよく言われています。
しかしその数値はどの程度なのか?という疑問が残ります。
そこで今回実際どの程度の放射線を浴びるのかガイガーカウンター(線量計)を機内に持ち込んで羽田ー福岡で放射線量を測定してみました。
目次
測定に使用するガイガーカウンター
放射線のうち今回測定するのはγ線です。
γ線を測定するにはガイガーカウンターと呼ばれる線量計が必要です。
今回測定に使用するガイガーカウンターはMKS-05 TERRA Bluetoothです。
ちなみにMKS-05 TERRAシリーズ比較についてはこちら
線量計(放射線測定器)ECOTEST MKS-05 TERRA のシリーズ比較ANA257 羽田ー福岡間でのフライトデータと放射線量
今回測定したANA257の飛行データ
これが今回測定を行ったフライトです。
羽田空港から福岡空港までは約2時間のフライトです。
機体はB777-200になります。
これがフライトレーダーに表示されるフライトレーダーです。
オレンジ色のグラフが速度、青色のグラフが高度です。
表示時刻はUTCなので日本時間(JST)にするには+9時間する必要があります。
羽田空港の地上の放射線量は0.08μSv/h
まず、搭乗して羽田空港の離陸前の放射線量は0.08μSv/hでした。誤差は26%です。
0.05~0.10μSv/hの範囲は通常の放射線量です。
この日はD滑走路からの離陸でしたが、離陸するまでは当然数値に変更はありませんでした。
【豆知識】滑走路の名前の付け方しかし離陸してしばらくすると放射線量がみるみる上昇します。
離陸後上空の最高放射線量は1.13μSv/h
最高高度に達した時に放射線量がピークになり14:40に1.13μSv/hの表示が出ました。
誤差は12%です。数値が大きくなったため誤差も少なくなっています。
これは離陸前(0.08μSv/h)の約14倍です。
場所的には琵琶湖の手前の上空付近になります。高度は30,000フィート(約9,144メートル)と表示されていました。
飛行機の巡航高度はなぜ地上から1万メートル?それには理由がある水平飛行中は1μSv/h前後を常に表示し続けました。
その後、着陸態勢に入り高度が下がると一気に放射線量も低下して地上と同じレベルに戻りました。
フライトデータと線量計のデータを合わせたグラフ
オレンジ色が高度データ・青色が放射線量になります。
最高高度の32000フィート(=約9,754メートル)付近が最も放射線量が高くなっています。
こうしてみると高度と放射線量は強い相関がありますね。
羽田ー福岡間の積算放射線量は0.001mSv
飛行時間1時間40分の間の積算放射線量は0.001mSvとなりました。
ANA266 福岡ー羽田でのフライトデータと放射線量
今回測定したANA266の飛行データ
福岡ー羽田間のフライトはANA266を測定しました。
飛行時間は1時間35分になります。往路より25分ほど短くなります。
機材は往路と同じくB777-200です。
福岡ー羽田は気流の影響でフライト時間が短く航路も往路と異なります。
四国上空を通過する航路になっていました。
これがフライトレーダーに表示されるフライトレーダーです。
オレンジ色のグラフが速度、青色のグラフが高度です。
表示時刻はUTCなので日本時間(JST)にするには+9時間する必要があります。
福岡空港の地上の放射線量は0.08μSv/h
搭乗した機内の放射線量は羽田空港と同じ0.08μSv/hでした。誤差は26%です。
離陸後上空の最高放射線量は1.59μSv/h
羽田ー福岡間では1.13μSv/hが最高でしたが、福岡ー羽田間では四国上空で1.59μSv/hの表示が出ました。
誤差は11%です。
これは離陸前(0.08μSv/h)の約20倍です。
フライトデータと線量計のデータを合わせたグラフ
オレンジ色が高度データ・青色が放射線量になります。
最高高度の37000フィート(=約11,278メートル)付近が最も放射線量が高くなっています。
往路よりも復路のほうが高いのは最高高度の差も影響していると思われます。
5,000フィート(約1,524メートル)高い上空を飛行してたことになります。
福岡ー羽田間の積算放射線量は0.001mSv未満
往路の1.13μSv/hの1.4倍になる最高1.59μSv/hを表示したフライトでしたが、飛行時間自体が短いため積算放射線量は0.001mSv未満となりました。
高い放射線量でも時間が短ければ影響が少ないという良い例かと思います。
まとめ
今回の計測では羽田ー福岡間の積算放射線量は0.001mSvでした。
ちなみに歯のレントゲンは0.01mSvらしいので歯のレントゲンの1/10程度ということになります。
放射線医学総合研究所の資料によると、東京ーニューヨーク(往復)で0.1mSvの被ばく量があるようです。
東京ーニューヨークは12~14時間程度飛行時間があるので上空にいる時間も長いので放射線量が高い時間もその分長いことになります。
過去に測定した時、地上での積算放射線量は1日(24時間)で約0.002mSvでした。
つまり半日分の放射線量を約2時間で浴びた計算になります。
単純計算で1年で0.002mSv×365日=0.73mSvになります。
この値から計算してみると
0.001/0.73≒0.137%
となり、羽田ー福岡(片道)のフライトは
1年で浴びる放射線の0.137%程度ということになります。
これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれだとは思いますが、よっぽど長時間&回数を乗らない限りとくに気にする必要はないと言えるかと思います。
また違う路線でフライトする機会があれば計測してみようと思います。
今回のデータも皆様の何かの参考になればと思います。